すべてのジャンルはマニアが潰す
「すべてのジャンルはマニアが潰す」
これは新日本プロレスの元会長である木谷高明さんの言葉なんですが、非常に本質をついている名言だと思います。
昨日テレビ番組を見ていて、この言葉を思い出しました。
番組では、着物を現代風にアレンジして、オシャレに簡単に着れる着物のお店の紹介をしていました。着物に新しい価値を加えて若者に着物に興味を持ってもらえる様に工夫しています。でも、それを阻害する要因のひとつに「着物警察」の存在があるというんです。
着物警察とは、今風にアレンジした着物を着ている人に対して「正しい着物の着方」を指摘や注意してくる人のことらしいです。
着物離れしている若者がせっかく着物に興味を持ってくれたのに、着物が好きな着物警察のせいで着物離れが加速していくという皮肉な結果になっています。
つまり、着物警察というマニアによって着物市場の拡大が阻害されているのです。
これってどんな業界にも言えることですよね。まさに、「すべてジャンルはマニアが潰す」ということです。
自分はそんなことはしないと思っている人でも注意が必要です。
こんなこと言ったことはありませんか?
「私達の時代じゃ考えられない」
「何が良いのかさっぱりわからない」
「本当はそうじゃない」
「常識的にアウトでしょ」
「おもちゃみたいなもんだね」
「社会人としてダメ」
一度は言ったことがある人も多いんじゃないですか?これらの言葉はマニアの始まりなので、注意しましょう。このマニア問題の難しい点は、マニアには悪意があるわけではないということです。むしろ親切心で間違っていることを正そうとしています。これが非常にやっかいです。
先ほどの着物警察でいうと、
「正しい着物の着方を教えてあげたい」
「間違った知識を気づかせてあげたい」
「着物をちゃんと着てほしい」
「伝統を受け継いでほしい」
など、その人の事を思っての発言のように聞こえます。でも、これらの発言はこうも受け取れます。
「昔の着物のルールだけが正しい」
「新しい価値観は受け入れない」
「変化や進化はしなくて良い」
着物市場は縮小しているので、新しい層に着物をきてもらう必要があります。だから目的は着物市場の拡大です。でも、着物警察の目的は着物のルールを守らせることになっています。これでは逆効果です。
市場が拡大するということは、市場が多様化するということなんですね。
自戒の念を込めて書いてみました。