【お仕事探訪】「1万円選書」で話題の「いわた書店」の提供している価値とは
Amazonや楽天などでスマホ操作一つで本が買える時代になり、全国の書店での閉店が止まりません。1999年に2万2000店舗あった書店が2017年には1万2500店舗まで減っています。約20年の間で4割も減っています。そんな厳しい書店業界のなかで全国から注文が殺到してるのが「いわた書店の一万円選書」です。
一万円選書とは、店主の岩田さんがお客さんが記入した「カルテ」を元に一人ひとりその人に合った本を1万円分選んでお届けするというサービスです。現在は希望者が多く抽選制になっており、当選した人しかこのサービスを受けれません。
カルテにはこんな質問があります。
・印象に残っている本BEST20
・職業
・最近気になった出来事
・よく読む雑誌
・人生でうれしかったこと
・苦しかったこと
・何歳のときのじぶんが好きですか?
・あなたにとって幸福とは何ですか? など
このカルテを元に岩田さんがその人に合った本を選書していきます。Amazonの提供している価値が「スピード」だとすると、いわた書店はその真逆です。当選しなければ購入すらできませんし、当選しても本が届くのは数か月先になります。ではいわた書店の提供している価値は何でしょうか?
もちろん「その人に合った選書をする価値」ではあるんですが、私は本質的な価値は「メンター」だと感じました。
過去に読んだ本や自分の考えなどのカルテに記載することは、家族や友人にも言えない悩みや本音を岩田さんに伝えていることと同じです。
そのカルテを元にメンターである岩田さんがお客さんに本を通してアドバイスしてくれるのだと思います。
「仕事に疲れているのでこの本を読んで視野を広げてごらん」
「そんなに頑張らずにたまにはこんな本を読んでリラックスして」
「人生に悩んでいるならこの本を読むといいよ」
「普段は読まないだろうけど、この本は読んでおくといいよ」
選書された本からは岩田さんからのそんな声が聞こえてくるのではないでしょうか。
また、北海道の実店舗には「売れる本」ではなく「売りたい本」を置いています。通常本の返品率が40%なのに対して、いわた書店では仕入れた本の98%は販売しているそうです。この「選んであげる価値」は様々な業界でも応用できる取組みですね。参考にしたいです。
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いわた書店
北海道砂川市西1条北2丁目1−23
http://iwatasyoten.my.coocan.jp/form2.html
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